社員ブログ   ブラ旅47

こんにちは。
さぁ、ブラ旅47が始まりますよー。ようやく17県目!
その前に、いつものお約束。

 

☆★ ブラ旅47とは ★☆
大和グラビヤのブランディング企画室が日本全国47都道府県の旅に出る企画、
略して「ブラ旅47」!全国各地の食べ物やお土産や工芸品・・・それらを作っている人たちとの出会いやその体験で感じたこと、得たものを旅の記録として綴っています。
☆★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★☆

 

 

なんと、九州に上陸です。
飛行機で移動している最中も、ワクワクが止まらない・・・。
これから4週に渡り、九州の上半分(一般的な表現はさておき。今回は福岡県、佐賀県、長崎県、大分県を「私的 九州の上半分」としてみました。)を旅していきます。
ブラ旅九州のトップバッターは、大分県!

 

三隈川の澄んだ水を抱え、ゆったりと気持ちの良い空気に包まれた日田市。
今回は、この小さな町の映画館「日田シネマテーク・リベルテ」さんにご訪問させていただきました。

 

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可愛らしいレトロな佇まい。日田市のボウリング場2階に「日田シネマテーク・リベルテ」さんがあります。

 

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階段を上った先には雑貨に書籍・CD、陶器等が並べられた素敵な空間が広がっていました。ここは本当に映画館なのでしょうか?
何とも言えない穏やかで優しい時間が流れています。

 

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映画を通して日田市という土地に少しずつ文化を作ってきた「日田シネマテーク・リベルテ」さん。
ドキドキしながら、代表の原茂樹さんにお話を伺いました。

 

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1. 日田シネマテーク・リベルテという場所

 

「日田シネマテーク・リベルテ」では、日々映画上映や足を運んでくれた方との交流を中心とした様々な文化活動が行われています。原さん曰く、文化活動とは「時代によって表現の形がドンドン変化していく中で、どんな社会であっても自分にとって生きていくために何が必要なのか、を自分で作っていく」といった感覚だそう。むむ・・・コレは言葉にすると難しい・・・。『文化活動』という言葉への理解が追い付かず、何だかボンヤリしてしまう私。頭の中をフル回転させます。
アートや音楽、文学等は東京や5大都市に集中しているイメージがありますが、原さんはあえて東京ではなく日田市に根付いて活動されています。
「『進む事が良い』とされている世の中で、立ち止まって自分自身と向き合える場所が必要です。映画館は、仕事でも家でもない第三の場所(←これが社会)です。」原さんは穏やかに語られます。

 

「僕が尊敬するのは手塚治虫さん、千利休や民藝の柳宗悦さんや『暮しの手帖』の花森安治さんなど。民衆に寄り添った方々が僕の先生です。音楽ならフォークが好きだし、フォークアートも好き。その土地での生活があれば良いですし、誇りを持って生きている事を各々尊重すれば良いと思うのです。どちらか一方が良い等と比較するものではありません。今の社会は皆が東京(都市部)を意識し、東京からやってきた文化で生活していますが、地方によって個別の文化があれば良いと考えています。」

 

「僕は故郷でもある日田市が大好きなんです。この場所(リベルテ)で育まれた人材や日田市という地に魅せられたアーティストが沢山いますが、もれなく皆さん全員が全国区の人達ばかりです。また、ここリベルテに取材で訪れた方々には実際に町を案内し、日田市について紹介しています。様々な文化が作られているこの土地を、皆さんに知っていただきたいのです。」

 

日田市という場所で質の高い映画を上映する等、原さんがじっくり続けてきた文化活動。こうして【会いたいと思う魅力的な人】や【戻ってきたくなる場所】、【文化と出会える環境】が少しずつ作られていきました。

 

 

2. 「文化」って何だろう

 

意味合いが幅広く概念が曖昧になってしまう『文化』という言葉。そもそも『文化』っていったい何でしょうか。
原さんにお聞きしました。

 

― 原さんが、ここリベルテで作られてきた『文化』。言葉の意味は、ネットで調べれば出てきますが・・・。つまり『文化』とは一体何でしょうか?原さんの考える『文化』を教えていただけますか?

 

「面白い質問ですね(笑)。
『文化』とは【土を耕す】行為と同じだと捉えています。農業(agriculture アグリカルチャー)と同じ。言葉で表現するのは本当に難しいのですが、【土を耕して良い土壌を作る】という事が『文化』だと考えています。」

 

「では【土を耕す】とは具体的にどんな事を指しているのでしょうか。例えば『映画』とは何かを考えた事がありますか?おそらく『映画』に対して定義から考えた事がある人は少ないだろうと思います。私は『映画』とは『誰かの人生』そのものである と考えています。
シネマテーク・リベルテで上映している様な内容の『映画』を見る機会が少ない方は、おそらく映画と言われると娯楽に近い内容を思い浮かべるでしょう。そうでは無く『映画』という形で表現された ” 誰かの人生 ” をしっかり観る。そうして『人生』をしっかり観た人には、その後、どう影響するのでしょうか。もしかしたら≪じゃあ、僕はこうしよう≫≪私はこう考えよう≫と、それぞれ行動に移していくかもしれません。その様な機会を作る事も【土を耕している = 文化】だと思います。」

 

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「「種を蒔いていますね。」と言う人が多いのですが、僕にとって種を蒔く事はどうでも良い事です。『人が種を蒔きたくなる土地を耕している』のであり、それが僕の考える『文化』です。いい土壌には人(種)が集まるので、文化を作る上で「土」が一番大切だと思っています。人が寄って来るような良い土壌にする為、僕は「土地」の管理を行います。ここで育つもの全てが、よく伸びていくように土を耕します。」

 

「土地の場所によって供給される養分は変わるので一部分だけズドーンッと育つ事もあるし、田舎に行くと野性的な状態で伸びている事もあります。でも、それも当然の事なのです。僕らはそれぞれ違いがある訳で、それを均一に沢山増やしていこうという訳ではありません。「コレが伸びるのであれば、コレを活かして。じゃあ周りを少し切ってこちらは少しどかそうかな・・・」等という調整は後で行います。人は皆、圧倒的な素晴らしいものを持っています。それを本気で引き出す人がいれば必ず伸びていきます。これは教育と同じなのですが、それぞれが成長すれば良いと思っています。」

 

「まずは全体がよく伸びていくような【良い土壌】になるように【土を耕していく】・・・それが、僕の考える『文化』なのです。」

 

 

― なんだか・・・とても難しく感じます。

 

「たぶん難しいと感じるのは「どこかに提案しよう」「評価の対象にしよう」とか「より良いものにしよう」と考えてしまうからです。そうではなく、もっと逆の方です。「これが、本当に好きだ」とかいう、そもそも持っている感覚が大切です。」

 

「今の世の中では、映画をすぐに「おもしろい」「おもしろくない」とか評価する事が増えてしまっています。人を第一印象でそう決めつける事はないですよね。自分で「こういう人もいる」と、まず相手の事を尊重する事が大切です。その上で自分はどうしたら良いのか?と考える。」

 

「『人』や『人生』について全てを判断したり理解しようとする事自体が、今の時代の落とし穴だと思います。人生わからないから、相手を好きになる。わかってしまったら、興味が無くなる。まずは人を尊重する事が大切です。評価しようとすると全てが難しくなります。決め付けずに、まずは受け入れる事から。」

 

「僕の生活は、仕事とプライベートがあまり無い状態です。実生活で良かった事を仕事に活かし、仕事で良かった事を実生活に活かします。何時から何時まで・・・というように、時間を区切って考えている人には理解し難いかもしれません。でも「時間を区切って生活する」事と「生きている」事はイコールなのでしょうか?改めて考えてみると、(農業をはじめ)「決してそうでは無い」という事が明確にわかります。」

 

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「この映画館の名前である【リベルテ】はフランス語で「自由」という意味です。同じ「自由」と訳される言葉でも「支配や制約を受けない自由な状態」である【freedom フリーダム】ではなく【liberty リバティ】の方であり、「規制された状態からの自由」を表しています。今の問題に対して枠や柵を超えたところに、初めて自由があるという事です。本当に手放しの自由な状態だと、皆、何もしなかったりするのです。規制された中に何か感じる違和感があり、それを自分で求めていく。解放してゆく。そんな時、全てを自分の力だけでやろうとしてしまうので、うつ状態に近くなる。先人達がそんな時の為にきちんと考えを残してきているのに、それを見ていない。だからまずは、観て欲しい 読んで欲しい 触れて欲しいのです。」

 

「苦しい皆の為に、本が書かれているし、沢山映画が作られている。まずはそれを観て、先人達の教えを知る事が生きる為の教育なのだと思っています。そうじゃないと、自分の中だけの考えから抜け出せずスパイラルに陥ってしまう。そのような事は教育の現場ではよく起こっていますが・・・ちょっと多すぎるかなと感じています。学力と生きる知恵は大きな違いがあります。」

 

言葉にするのは本当に難しいテーマに対して、丁寧に解説いただいた原さん。
「『文化』を全てわかろうとしなくて良いと思います。ゴールなんて無いですから。
神社みたいに、手を合わせるとつい本音が出てしまう、そんな場所を作れたら嬉しいです。」
そんな原さんの言葉が印象的でした。

 

 

3. 取材を終えて

 

日田市という土地や文化の事。人とヒトの事。今回記載した内容の他にも沢山大切な事をお聞きし、とても贅沢な時間を過ごさせていただきました。

 

そして。
インタビューの後、私も日田市を案内していただきました。

 

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三隈川に、小迫辻原遺跡。原さんのお話をお聞きしながら、直接その場所に触れていきます。日田市全体が不思議な空気を纏っていて、私にとって特別な体験となりました。

 

今まで意識していなかった『文化』に触れ、いつもとは違う時間の流れを体感した私ですが、スケジュールの都合上リベルテで映画を観られなかった事が心残り・・・。次回訪問する際は必ず映画を観よう!と、心に決めました。
その時は、今よりもっと沢山の映画や書籍・アート・音楽に触れている自分でありたいと思います。
すぐに行動!まずは映画を観るぞ!

 

「日田シネマテーク・リベルテ」原さん、本当にありがとうございました!

 

 

——-取材協力——————————————————————–
日田シネマテーク・リベルテ
〒877-0016 大分県日田市三本松2丁目6-25 日田アストロボール2F
営業時間:9:00〜22:00 (※閉館時間は作品により変更する場合がございます)
定休日:無休
TEL: 0973-24-7534
e-mail:info@hita-liberte.com
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次のブラ旅47は、福岡県!
その土地のコミュニティの中心でもあり、全国から沢山の人が訪れる素敵な神社にお伺いしました。

次回の更新もお楽しみに!

 



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